夢十夜

こんな映画を観た。

腕組みをして場内に入ると、女が、聞き覚へのある声でもう完結すると言ふ。登場人物は躍動し、演出も上々。到底完結しさうには見えない。然し、もう完結するとはつきり云った。自分も確に是れは完結するなと思つた。

自分は席に坐つた。是から九十分の間かうして観てゐるんだなと考へながら、腕組をして、銀幕を眺めてゐた。そのうちにルパが来た。やがてラムを連れ去つた。

しばらくすると、あたる達が闇の宇宙へ乗り込んだ。さうして、誤解と共に戻つて来た。

自分は、かつて彼等を何回見たか分からない。思ひ出しても、しつくせない程、彼等が頭の中に浮かんでいつた。仕舞には、本当に完結するのだらうかと思ひ出した。

すると地面から斜に巨大きのこが伸びて来た。見る間に繁殖して友引町を覆つた。と思ふと、豚の舞ふ空にルパとラムが映つた。そして鬼ごつこが始まつた。記憶喪失装置が飛んだ。巨大ロボツトが現はれ敗れた。自分は笑つた。タイムリミツト直前、あたるの手から、ぽとりと角が落ちたので、ラムはあたるの愛を理解した。自分は目頭を押へて感動した。自分が銀幕から目を離す拍子に思はず友人を見たら、目に涙が瞬いていた。

「うる星はもう完結したんだな」と此の時始めて気が付いた。

Satoshi ARAI ( arai@rumic.gr.jp )